「この製品と似たような製品は以前判定したことがある。同じ判定でいいだろう」という判断は危険です。類似品・代替品の該非判定には固有の落とし穴があります。この記事では実務上注意すべきポイントを解説します。
(記事「該非判定の進め方」への内部リンク)
該非判定でやりがちな落とし穴4選|輸出管理担当者が注意すべきポイント
類似品・代替品の判定を個別に行う必要がある理由
似ている製品でも仕様・材質・機能が少し異なれば判定結果が変わる場合があります。過去の判定結果を流用することは誤判定のリスクがあります。
判定は必ず対象製品ごとに個別に行うことが原則です。経済産業省も「該非判定は輸出者が責任をもって行うものであり、製造者等から入手した判定書を使用する場合でも、輸出者が判定結果の内容を確認し、輸出者の責任として判定した結果としてください」としています。
法令用語と通称のズレが判定ミスの原因になる
類似品・代替品の判定で最も多い落とし穴が法令用語と通称のズレです。同じ製品でも業界での呼び名と法令上の用語が一致しないことがあります。
CISTECも「同じ製品でも呼び方には様々なものがあり、規制対象を掲載した法令用語と一致するとは限らない」と注意喚起しています。通称で検索して該当しないからといって非該当と判断してはいけません。
具体例:インバーターと周波数変換器
JETROの資料に掲載されている実例です。
| 通称 | 法令用語 | 規制箇所 |
|---|---|---|
| インバーター | 周波数変換器 | 輸出令別表第一 2の項(8) |
「インバーター」でマトリクス表を検索しても該当しない場合でも、「周波数変換器」で検索すると規制品目として確認できます。通称だけで検索を終えるのは危険です。
別名・類語の調べ方
法令用語がわからない場合の調べ方は以下の通りです。
- 経済産業省「貨物・技術のマトリクス表」の法令用語と一般用語の対比表を確認する
- マトリクス表のExcelファイルで「ブック全体を検索」する設定にして複数のキーワードで横断検索する
- CISTECの「政省令-EU規制リスト対比表」で英語名から輸出令の対応用語を調べる
- 業界団体の用語事典で確認する
1つの用語だけでなく別名・類語でも複数回検索することを習慣にしてください。
仕様が似ていても判定は別
類似品であっても以下の点がわずかに異なれば判定結果が変わります。
| 変更点 | 判定への影響 |
|---|---|
| 数値・スペックの向上 | 規制閾値を超えると「該当」になる |
| 材質の変更 | 同じ用途でも材質が変われば別品目として判定が必要 |
| モデルチェンジ | 旧モデルの判定結果は新モデルに流用不可 |
| 機能の追加 | 追加機能が別の項番で規制される可能性がある |
特に数値の閾値には注意が必要です。規制値を1つでも超えれば「該当」になります。性能が向上した新モデルは必ず再判定してください。
なお材質については、「その用途に実際に使われるかどうか」ではなく「その機能・特性を備えているかどうか」で判断されます。たとえばある素材が規制対象の装置に使用できる特性を持っていれば、実際にその装置に使っていなくても規制対象となる場合があります。
部分品・附属品も個別に判定する
本体が非該当であっても、部分品・附属品が別途規制対象になる場合があります。
| ケース | 判定方法 |
|---|---|
| リスト規制品に使用するために特別に設計された部分品 | 本体と同じ項番で「該当」として判定 |
| リスト規制品と同じ機能特性を持つ部分品(専用設計品) | 同上 |
| リスト規制に非該当の貨物専用に設計された部分品 | 規制対象外 |
本体と部分品を一括して同じ判定で処理することは誤りです。本体・部分品・附属品はそれぞれ個別に判定してください。
まとめ
- 類似品・代替品であっても判定は製品ごとに個別に行う
- 法令用語と通称のズレが判定ミスの原因になりやすい(例:インバーター→周波数変換器)
- 別名・類語で複数回検索することを習慣にする
- 仕様・材質・数値がわずかに異なれば判定結果が変わる
- 新モデルへの切り替え時は必ず再判定する
- 部分品・附属品も本体とは別に判定が必要
(外部リンク:経済産業省 貨物・技術のマトリクス表 )
(外部リンク:CISTEC 別名・類語の調べ方 )
(外部リンク:JETRO 該非確認方法Q&A )
※本記事の内容は2026年6月時点の法令に基づきます。実際の判断は必ず最新の法令および経済産業省・CISTECの公表情報をご確認ください。


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