「海外の自社工場に製品を送るだけだから許可は不要」と思っていませんか。現地法人への輸出や技術提供にも外為法の規制が適用される場合があります。この記事では、海外現地法人・子会社との取引で本社担当者が知っておくべきポイントを解説します。
現地法人への輸出にも許可が必要になる場合がある
外為法のリスト規制は仕向地を問わず全地域が対象です。海外の自社工場・子会社・現地法人への輸出であっても例外ではありません。
JETROの資料でも「機械設備カテゴリーに入る貨物は、海外子会社への移設であっても該非判定が必要」と明記されています。「自社内の移動だから大丈夫」という判断は誤りです。
また過去に輸出された機械設備を修理目的で日本に送り返して再輸出する場合も「中古設備」に準じて規制の対象となります。
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現地法人への技術提供も規制対象
貨物だけでなく、技術の提供も規制対象です。日本人駐在員や出張者が現地法人において規制技術を無許可で現地スタッフに移転することが懸念されています。
具体的には以下のような場面が該当しうります。
- 現地スタッフへの製造技術の指導
- 技術図面・仕様書のメール送付
- 現地工場での機械の操作指導
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現地法人スタッフへの技術提供とみなし輸出
現地法人の外国人スタッフへの技術提供はみなし輸出の観点からも注意が必要です。
2022年5月施行の改正で、外国政府や外国法人の強い影響を受けている状態(特定類型)に該当する居住者への技術提供もみなし輸出管理の対象であることが明確化されました。
現地法人スタッフが日本に来て技術研修を受ける場合も、その従業員が特定類型に該当するかどうかの確認が必要です。
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エンドユーザーが未確定の状態で現地法人に輸出する場合
実務でよくある取引パターンとして、「輸出時点ではエンドが決まっておらず、現地法人に在庫として輸出し、その後現地法人の判断で顧客にサンプル提供する」というケースがあります。
この場合の建付けを整理します。
日本本社→現地法人への輸出段階
この段階で日本の外為法が適用されます。エンドユーザーが未確定であっても、該非判定とキャッチオール規制の確認は必要です。
経産省のキャッチオール規制フロー図でも「輸出者による確認のポイントは①用途確認(エンドユース)②需要者確認(エンドユーザー)の2点」とされており、輸出時点で確認できる範囲での審査が求められます。エンドが未確定の場合は「現時点で把握できる情報の範囲で懸念がないこと」を確認・記録しておくことが実務上重要です。
現地法人→顧客へのサンプル提供段階
この段階は現地国の法令が適用されます。日本の外為法の直接の管轄外です。ただし以下の場合は別途注意が必要です。
| ケース | 注意点 |
|---|---|
| 米国原産品・技術が含まれる場合 | EARの再輸出規制が現地法人にも適用される |
| 日本本社が取引に実質的に関与・指示している場合 | 実質的な輸出者として外為法上の責任を問われる可能性がある |
| 現地法人が懸念国・懸念需要者への提供を行う場合 | 日本本社として把握・管理する体制が望ましい |
エンドが未確定のまま輸出する場合でも、「現地法人が最終的にどのような顧客に販売するか」を本社がモニタリングする仕組みを社内規程に組み込んでおくことが、グループ全体のコンプライアンス上重要です。
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グループ全体での管理体制の考え方
CISTECのモデルCPによると、親会社が取引審査の最終判断をするだけでは子会社が外為法等遵守事項を実施できているとは判断されません。特別一般包括許可の取得を前提とする場合、子会社である個社それぞれが最終責任を負う体制が必要です。
グループ企業向けの管理体制としては、グループ総括輸出管理部門が該非判定や取引審査に関与しつつ、輸出許可は法人である個社ごとに与えられる形が推奨されています。
現地法人に任せる場合の注意点
| 確認事項 | 内容 |
|---|---|
| 現地法規制の確認 | 現地国の輸出管理法令が日本の外為法と別に適用される場合がある |
| EARの適用確認 | 米国原産品・技術が含まれる場合はEARの再輸出規制が別途適用される |
| 責任の所在 | 日本から輸出する場合の許可責任は日本の輸出者にある |
| 記録の保管 | 日本から輸出する場合、許可申請・該非判定書は日本の輸出者が保管する義務がある |
| エンドユーザーのモニタリング | エンドが未確定の場合でも現地法人の販売先を本社が把握する仕組みが望ましい |
まとめ
- 海外自社工場・現地法人への輸出でも該非判定は必須
- 修理目的の再輸出も規制対象になる
- 駐在員・出張者による現地での技術提供も許可が必要な場合がある
- 現地スタッフへの技術研修はみなし輸出の観点から特定類型の確認が必要
- エンドユーザーが未確定の場合でも輸出時点での確認・記録が求められる
- グループ管理体制は個社ごとに責任を持つ形が求められる
(外部リンク:JETRO 早わかりガイド )
(外部リンク:CISTEC グループ企業向けモデルCP )
(外部リンク:経済産業省 みなし輸出管理の明確化 )
(外部リンク:経済産業省 キャッチオール規制フロー図 )
※本記事の内容は2026年6月時点の法令に基づきます。実際の判断は必ず最新の法令および経済産業省の公表情報をご確認ください。


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