「経済安全保障」という言葉をニュースで見かける機会が増えました。輸出管理担当者にとって、経済安全保障と外為法の輸出管理はどう関係するのか、整理しておく必要があります。
経済安全保障とは何か
日本の国家安全保障戦略において、経済安全保障とは「国の平和と安全や経済的な繁栄等の国益を経済上の措置を講じ確保すること」と定義されています。 Jetro
輸出管理はこの経済安全保障を実現するための施策のひとつです。外為法に基づく輸出管理は従来から存在していましたが、近年の国際環境の変化を受けて、その重要性が大きく高まっています。
なぜ今、重要性が増しているか
米中対立の激化が単なる通商摩擦を超えて覇権争いに発展し、技術優位性の毀損や技術の脆弱性が安全保障上の懸念として認識されるようになりました。こうした背景から、安全保障と経済を一体としてとらえた政策が世界的に推進されています。 Jemima
サプライチェーンの途絶リスク増大や米中対立など、国際環境の変化に伴い、主要国が経済安全保障推進のための制度整備を急いでいます。 Jetro
経済安全保障推進法と外為法の違い
2022年に成立した経済安全保障推進法と外為法の輸出管理は別の法律です。混同しやすいので整理します。
外為法は貨物の輸出・技術の提供に対する規制で、輸出管理担当者が日常的に対応する法律です。リスト規制・キャッチオール規制・みなし輸出管理などがここに含まれます。
経済安全保障推進法は重要物資のサプライチェーン強化、基幹インフラの安全確保、先端重要技術の開発支援、特許出願の非公開化の4つを柱とする法律です。直接的な輸出規制を定めたものではありませんが、技術流出防止の観点で輸出管理と方向性を共有しています。
特に特許出願の非公開化については、自社の技術が安全保障上の機微技術に該当する場合、出願内容が非公開となる可能性があり、輸出管理部門だけでなく開発・知財部門との連携が必要になるケースがあります。
輸出管理担当者が特に注意すべき変化
経済安全保障の観点から、近年の外為法運用で特に影響が大きかったのは以下の2点です。
みなし輸出管理の明確化(2022年5月施行)として、従来は企業内の外国人従業員への技術提供が原則対象外とされていましたが、外国政府等の強い影響下にある居住者への技術提供も管理対象であることが明確化されました。 Jemima
先端半導体の規制強化として、2023年7月に先端半導体製造装置等23品目がリスト規制の対象に追加されました。国際的な技術覇権をめぐる動きが直接、規制品目の拡大につながっています。
今後の見通し
投資審査や輸出管理の更なる強化、強制技術移転への対応強化、研究インテグリティの推進、人材流出対策等について具体的な検討が進められています。 Jetro
輸出管理の対象品目や規制要件は今後も変化し続ける可能性があります。法令改正情報を定期的にウォッチする体制を社内に整えることが重要です。
まとめ
- 経済安全保障は国益を経済上の措置で確保する概念で、輸出管理はその手段のひとつ
- 経済安全保障推進法と外為法は別の法律
- みなし輸出管理の明確化・先端半導体規制強化など、近年の外為法改正は経済安全保障の観点と密接に連動している
- 規制は今後も変化し続ける可能性があり、改正情報のウォッチが不可欠
(外部リンク:JETROガイド )
(外部リンク:経済産業省 安全保障貿易管理の概要 )
※本記事の内容は2026年6月時点の情報に基づきます。経済安全保障関連の法令・政策は頻繁に変化するため、実際の判断は必ず最新の情報をご確認ください。


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